薄青の星

好きな作品についての感想

ウォーリアーズ語り

私はハイファンタジーが好きです。

幼少期から現実逃避したいたちの人間だったこともあり、図書室ではよくファンタジー小説を探していました。

ただ、「剣と魔法」自体にはそこまで興味がないので、本当の意味でファンタジーが好きとは言えないのかもしれませんが。

風土感や歴史のうねり、人間関係のもつれなどを描いたファンタジーが好きですね。

 

私が一番はじめにハマったと言えるファンタジーは、児童書の「ウォーリアーズ」です。

ウォーリアーズは猫が主人公の小説で、飼い猫だった主人公が野生猫の部族の族長から勧誘され、部族の一員となり、戦士として成長していく物語です。

 

猫たちは4つの部族に分かれて暮らしており、普段は和平を守っていますが、

縄張りを巡る対立や自然災害、獲物不足などによって力の均衡が崩れたりすると、部族間での戦いが起きます。

 

また、部族の内部でも陰謀が渦巻いており、主人公のファイヤハートは内外の敵と戦っていくことになります。

 

勧善懲悪的なストーリーで、悪は必ず滅びますが、善もたくさん犠牲になります。

別に善良さが必ずしも救われるわけじゃないんだな、と感じさせてくれる児童書です。

 

また、主人公のひたむきさがとても良いんです。

 

主人公ファイヤハートは飼い猫出身だったことから、部族のメンバーからなにかと嫌がらせをされたり、心ないことを言われてしまいます。

ファイヤハートはそれに傷つきながらも、自分を信頼してくれる猫たちの協力を得て、信念に基づいて行動するのです。

 

それでも、救えない猫がいたり、戦いを避けられなかったりします。主人公であっても、万能ではありません。

多くの大事な存在を失いながら、ベストな道を模索するファイヤハートに感情移入しまくりでした。

ファイヤハートの他にも魅力的な猫がたくさん登場します(そして推しキャラは大抵退場します)

ウォーリアーズは「英雄たちの物語」なんですね。

報われても報われなくても、駆け抜けた生涯それ自体に意味があるのです。

 

私が大好きなのはウォーリアーズの中でも第一シリーズなのですが、本当にオススメしたい作品です。